今日はなんだか怒ってますね。
よっぽど気にさわることでも言われたのかな?
でも、そうやってほんの一部しか分からないのにその人のこと全部を嫌いになるのは良くないですね。
「ナスカの地上絵」って知っていますか?
昔の人が描いたバカでかい絵です。
あまりに大きすぎて、地面に立ってもただの線にしか見えずに、空から見ないと全体図が分からないという不思議な絵なんです。
これを人間に置き換えてみましょうか。
あなたが感じた「意地悪」というのは、あなたが見えているその人のほんの一部です。
でも、もしかしたら実は家族思いで勉強を毎日頑張って家のお手伝いをするいい子かもしれませんよ。
では今日は一部しか見えていないと全体は分からない という本を紹介しましょう。
- オズの魔法使い
- くじらだ!
- まどからおくりもの
- ブレーメンの音楽隊
オズの魔法使い
アメリカのカンサスに住む少女、ドロシーは竜巻に魔女の国まで吹き飛ばされてしまいました。
ワラのかかし、ブリキの木こり、勇気のないライオンと一緒に旅をして魔法使い「オズ」に会いにいきます。
ドロシーたちは魔法使いのオズと会って願いを言えることになりました。
ただし、会えるのは1人ずつです。
ドロシー、かかし、ブリキのきこり、ライオンの順でオズに会ったのですが、不思議なことにオズの姿は全部違うのです。
- ドロシーが会ったのは「大きな顔」
- かかしが会ったのは「緑のシルクのドレスを着た美女」
- ブリキのきこりが会ったのは「5つの手足と目玉のある巨大な獣」、
- ライオンが会ったのは「火の玉」
さすが魔法使いだけあって、形を変えるのはわけないんですね
と思いきや・・・・
実はオズはただの人間であって、魔法使いに見せるための作り物でした。
もっと注意深く部屋の中を観察していれば、オズのトリックを見破られ作り物だということも分かったのですが、目の前に起こる不思議なことに気を取られてしまい気がつくことができませんでした。
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くじらだ!
大きな湖のある村で、わたりどりが「くじらだー! 」と叫んでから、村はたちまち大騒ぎになってしまいます。
村をあげてくじらを探しますが、なかなか見つかりません。
でも、空から見たらなんと! 確かに大きなクジラがいました!
わたりどりの「くじらだー!!」の一言で、町の大人たちは我先に湖に船を出してクジラを探しに行きます。
湖に唯一ある小島から探しても、クジラは見つかりません。
クジラがしおを吹いているのが見えたから飛んで行ってみたら、・・・水道管が壊れていました。
長い桟橋から何日も湖を観察しましたが、やはりくじらは見えません。
もうみんな嫌になってクジラを探すのはあきらめました。
でも女の子がわたりどりに乗って空から見てたら・・・
大きなクジラがちゃんといました!!
びっくりした結末は読んでもらうとして、これもナスカの地上絵と同じですね。
地上にいればただの小島や桟橋も、空から見れば全体像が分かります。
この絵本で唯一全体像が分かっていたのはわたりどりだけでした。
全体像が見えているわたりどりと一部しか見えていない村の大人たちの話がかみ合う訳がありませんね。
そして、ある大人は小島、ある大人は湖の入江、とそれぞれ見えた部分も違います。
あなたはその子のことを「意地悪」だと思っていますが、別の子がみれば「頭のいい優しい人」という違った部分を見ているかもしれません。
まどからおくりもの
これはページに穴が開いていて、実際に「窓の向こうにいるは誰だ」と想像しながらページをめくるしかけ絵本です。
窓から見える一部からしか、家に誰がいるのか判断できないので、サンタさんも大変です。
窓から見えるとんがり耳を見て「ここはきつねさんのおうち」だと思って、とんがり帽子を置いていったら全然そうじゃなかったり・・・
サンタさんも寝ている子を起こさないように気を使ったのかもしれませんが、あまりその子に合っていないプレゼントとかがあったりして、やはり一部から全体像を判断するのは難しいんですね。
ブレーメンの音楽隊
年をとったので、家から捨てられたロバは町の音楽隊に入れてもらおうとブレーメンをめざします。
旅の途中で加わった犬、猫、にわとりたちと見つけたのは、たくさんのごちそうにあふれた泥棒の家でした。
ロバたちは頭をひねり協力して、どろぼうたちを追い出すことに成功し、この家でいつまでも幸せにくらしました。
どろぼうを家から追い出すために、ロバの上に犬が乗り、その上に猫が乗って、一番上はにわとりです。
そして一斉に「ヒーホー!」「ワンワン!」「ニャーニャー!」「コケコッコー!」と叫んで家に突入したので、どろぼうたちはびっくりして逃げ出してしまいました。
でもごちそうを食べてロバたちが寝ていたら、どろぼうたちが戻ってきてしまいました!
しかし、真っ暗な家の中では何がいるのか見えません。
①.猫の目が光り、どろぼうの顔をひっかき、
②.イヌがどろぼうの足に噛みつき、
③.ロバが後ろ足でけりあげて、
④.にわとりが「コケコッコー!」と大声で叫びました。
これにはどろぼうも何が起きたか分からず、また逃げていきました。
後からどろぼうはこう言っていたそうです。
「あの家には魔女がいて、長い爪でひっかっかれた」
「ナイフを持った男がいて、足を刺された」
「真っ黒のばけものに棒で殴られた」
「魔物の恐ろしい声が聞こえた」
どろぼうはもう二度とその家に入ろうとはしませんでした。
暗闇で慌ててたとはいっても、「足を噛まれた」とか、「顔をひっかかれた」という‟一部‟からよくもまあ架空の全体像を作り上げましたね。
それがこのお話の面白い所ではあるんですが、これを人間に置き換えるとやはり怖いですよね。
以上一部のことから判断すると、全体像は分からない、間違った全体像を作り上げてしまうという本の紹介でした。